「迎えに行くよ。」

愛の1ページ


ずっと、
「普通にならなきゃ」って思ってた。
 

みんなみたいに、
ちゃんと学校に行ける私。
 

嫌なことがあっても、
ちゃんと我慢できる私。
 

みんなと同じように、
ちゃんと馴染める私。
 
 

そんな「普通」になれたら、
お母さんを困らせなくてすむって、思ってた。
 
 
学校に行きたくなくて、
妹は学校へ行くのに、
私だけ家に残って、
お母さんと話してた朝。
 
 
困ったような顔をしてたお母さんを、
今も覚えてる。
 
 
その時から、
ずっと心の奥にある。
 
 
 
「ごめんなさい」
馴染めなくて、ごめんなさい。
普通じゃなくて、ごめんなさい。
 
 
私は、
私のままじゃ、
だめなんだって思った。
 
 
だから、
変わらなきゃって思った。
 
 
強くならなきゃって思った。
 
 
苦手なことにも挑戦した。
 
 
馴染めない場所にも、
頑張って馴染もうとした。
 


でも、
ずっと苦しかった。
 
 

本当は、
やりたいことが、
いっぱいあった。
 
 
家に帰って、
音楽に触れたかった。
 
 
絵を描きたかった。
 
 
家族みんなで、
笑っていたかった。
 
 
ただ、
あたたかい場所が欲しかった。
 
 
でも、
落ち込んでる私を見せたら、
お母さんまで、苦しくさせちゃうでしょ?
 
 

だから、笑ってた。
 
 
「ちゃんとしてる私」
 
でいようとした。
 
 
でも、
本当はずっと、疲れてたんだ。
 
 

「苦しい」
 
って、言いたかった。
 
 
「助けて」
 
って、言いたかった。
 
 
でも、
その言葉を飲み込んで、
 
 
「こんな私じゃだめだ」
 
 
って、ずっと自分に言い続けてた。
 
 
そんなふうに生きてきた私は、
気づいたら、
背中を丸めて、
小さくなってた。
 
 
そんな自分を見た時、
思ったんだ。
 
 

 
「いっぱい頑張ってきたんだね」
 
 
って。

 
「本当の私じゃない私を、
ずっと頑張って生きてきたんだね」
 
って。
 
 
そして、
気づいた。
 
 
私、
本当は、
普通になりたかったんじゃない。
 
 
ただ、
安心したかった。
 
 
「そのままでいいよ」
 
って、言ってほしかった。
 
 
本当は、
もっと自由に、
生きたかったんだ。
 
 
好きなことをして、
 
疲れたら休んで、
 
楽しいって気持ちを、
我慢しないで。
 
 
もっと、
無邪気に、
生きたかった。
 
 
でも、
そうやって、
自由になろうとすると、
怖くなる。
 
 
まるで、
檻の中にいるみたいに。
 
 
本当は、
外へ行きたいのに。
 
 
本当は、
走り回りたいのに。
 
 
でも、
どこかで、
 
 
「普通じゃない私は、
ここから出ちゃいけない」
 
 
って、思ってた。



だから、
閉じ込めてた。
 
 
泣いてる私も。

怖がってる私も。

不安でいっぱいな私も。


落ち込んでる私も。


もう無理だよ、って思う私も。


もっと、遊びたかった私も。


「なんで?」って感じてしまう、繊細な私も。


無邪気で、自由奔放な私も。
 
 
全部、閉じ込めてきた。
 
 
でも、消したかったわけじゃない。
 
 
本当は、
ずっと、迎えに行きたかった。
 
 
そう気づいた時、
 
 
暗い檻の奥に、
小さくなって座ってる私が見えた。
 
 
膝を抱えて、
 
「普通になれなくて、ごめんなさい」
 
って、何度も自分に謝ってた。
 
 
その姿を見た瞬間、
胸がぎゅっとなった。
 
 
ああ、
ずっと、
ひとりぼっちで頑張ってきたんだね。
 
 
だから、
私は、
その子の前に座って、
声をかけた。
 
 
 
「迎えにきたよ。」
 
 
 
すると、
その子が、
ゆっくり顔を上げた。
 
 
びっくりしたみたいな顔で、
 
「ほんとに?」
 
って、聞いてる気がした。
 
 
だから、
私は、
もう一回言った。
 
 
 
「もう、ひとりで頑張らなくていいよ。」
 
 
 
「どの私も、置いていかないよ。」
 
 
 
すると、
その子が、
震えながら、
小さく手を伸ばしてきた。
 
 
私は、
その手を握った。
 
 
まだ、怖い。
 
 
これから、どうなるかも分からない。
 
 
また、
「こんな私じゃだめだ」って、
自分を責めてしまう日も、きっとある。
 
 
それでも、
今、初めて思ってる。
 
 
閉じ込めてきた私たちと一緒に、
 
これから、
本当の意味で、
 
“私を生きてみたい”
 
って。


ずっと閉じ込めてきた私たちの手を、
これからは、
何度でも握りたい。
 
置いていかないよって、
ちゃんと伝えたい。
 

今度こそ、
一緒に生きていきたい。
 
そんなふうに、
初めて思えた。

 
もしかしたら、
私がずっと欲しかったのは、
「普通になれること」
じゃなくて、

“どんな私でも、
一緒に笑っていられること”
だったのかもしれない。
 

だから、これから、少しずつ。
 
閉じ込めてきた私たちと一緒に、
始めたい。
 

私が、
私を、
迎えにいく物語を。


その先にはきっと、
もっと自由で、
もっと無邪気で、
風の中を、夢中で走り回ってる私が、
待ってる気がするんだ。

「楽しい!」って、
全身で笑ってるような私。
 

やりたい、
行きたい、
好き、
面白そう、
 
そんな気持ちのままに、
目を輝かせて、生きてる私。
 
もしかしたら、
私自身もびっくりするくらい、
奔放で、
生き生きした私がいるのかもしれない。
 

そんな私も、
これから、
「迎えに行くよ。」


​・┈┈┈┈┈┈┈┈ ・

これは、
『愛の1ページセッション』から
生まれた物語。

あなたの人生にも、
まだ知らない愛の物語が、
きっとある。

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