きっと一生傷だらけかもしれない私へ

私へ


ああ、あんた…。


また、やっちゃってるね。
いい感じで、ボロボロだね。


「どうせ私は見捨てられる」って、
顔に書いてあるよ。


まず、その顔洗ってきな。



……はい、おかえり。
タオル、使いな。



どうしたの?


連絡が返ってこない?
どのくらい返ってこないの?


うーん。
まあ、そういうこともあるよね。


え?こんなに返ってこなかったのは、
はじめて?


…そっかあ。


生きてんの?


いや、相手じゃなくて、
あんたよ。

つらいね。
けっこう、きついんじゃない?


なんでかって、
連絡返ってこないことは
別に仕方ないと思えてるんだろうけど、
あんたが自分を責めてるからさ。


会ったときのあれがいけなかったのかな。
あんなこと言ったからかな。
私が少し我慢してしまったから、居心地悪かったかな。
もう嫌になったのかな。


…たくさん、考えたね。


ちょっと、自分いじめすぎかもね。
まずは、自分のせいかもしれないって
思うのは、やめていいよ。



連絡が来なくても、別にいいんだよね。

さみしい気持ちはあるけど、
彼が忙しいの知ってるし。
あんたは、そういう彼を愛したんだし。


連絡とらない間も、
彼が自分の時間を精一杯生きているんだって、
思えばつらくないし、
彼は彼で、あんたはあんただから、
自分の時間を楽しんでいればいいって。


彼が安心していつでも帰ってこれるように、
笑顔で、
待ってたいんだよね。


そんなことわかってる。
もうさ、通算100億回くらい唱えてきたよね。
ずっと隣できいてるあたしも、嫌でも覚えるわ。


でも、何がつらいってさ、
彼とのことなんて関係ない、
これまであんたが傷ついてきた記憶が、
なんか知らんけど一致団結してさ、
これでもかと言わんばかりに、
集大成見せてきてさ、


「あなたもどうせ見捨てるんでしょ?」



「ほら、やっぱり、こうなったじゃん」



「私、やっぱり、見捨てられちゃうよね」



「私、やっぱり、どうでもいいよね」



「私、やっぱり、支えにはなれないよね」



「私、やっぱり、愛されないよね」


って、
大合唱してくるんだよね。


それが、いちばん、
やられるんだよね。


あんたは、まだまた愛する気満々なのにね。

でも、自分の心の奥から聞こえてくる声だから、
傷ついてるのはわかるし、
その痛みに馴染みもあるから、
無視することもできなくて、
ちょっと参るよね。


あんたはさ、
彼が頑張る姿に心底惚れてるから、
ああ、今もきっと頑張ってるんだろうなって思えば、
待てるんだよね。

それだって、
昔はできなかったじゃん?

一日連絡が返ってこないくらいで
暴れ散らかして、
さみしいのは相手のせいだって恨みつらみを
ぶちまけて(以下割愛)

だから、
それができるようになっただけでも、
数年前と言わず、数か月前のあんたとも
比べ物にならないくらい、
変わってると思うんだけどね。


まあ、生きてたら、
そんな前向きに考えられる日
ばっかりじゃないしさ、
死ぬほど頑固で
誰のアドバイスだって
自分が納得しなければ
決して聞く耳を持たないあんたでもさ、
自分の愛に迷うときもあるしさ、
そりゃ、落ち込むこともあるわね。


支えだって言ってくれたのに、
もう、支えいらなくなっちゃったの?って、
不安になるよね。


他に、いい支えが、
見つかったならいいんだけどって強がったり、
彼は、さみしくしていないかなあって、
思ってみたりもするよね。


甘えていいよとかいったくせに、
なんでも受け止めるとかいったくせに、
私がそばにいて欲しい時にはいねえじゃねえか!って、
胸ぐら掴みたくなるときも
寂しくて叫んでしまいそうになるときもあるよね。


あんたは、ただでさえ、
待てる女なわけよ。

駆動時間も耐久年数も長い、
相当いいバッテリー搭載してるわけよ。
ある意味ぶっこわれてるけどね。

でも、
そんなあんたがちょっと悲しいなら、
それは相当なんだよね。


まあ、本当は寂しがりやだからね。
自分の気持ち、
いつも、少しだけ我慢しちゃうもんね。


ことさら彼に関しては、
最初から、寂しさがあったからね。
それでも、側にいたいと思ったんだもんね。


信じたかったよね。
彼のこと、というか、
彼との恋のこと。


この恋は、違うって。

この人こそ、運命だって。

しかも、
今回はこれまでのどの出会いより、
特別だったもんね。

びびびっときちゃったんだもんね。

それなのに、
今回も違ったのかなって、
これまで、
叶わなかった数が多い分だけ、
そりゃ思うよね。


また、わたし、
ひとりよがり、
やっちゃったかな、って。


「どうせ、見捨てられる」って、
全力であんたの傷跡が疼くんだよね。


でも、あんたはさ、
どっかでそうは思わないから、
痛くても、
不安でも、
そうやって、
彼を見ることをやめないんでしょ?

信じている気持ちがあるから、
待ってたいと思うんでしょ?

何か理由がある。
きっと、またしばらくしたら、連絡くれる。
また、会いに行ける。


きっと、そうだよ。
あたしも、そう思うよ。


だけど、連絡こないとかは
たぶん関係なくて、
これからも、
きっと何度も、
その傷の大合唱は、聞こえてくるんだよ。

あんたの傷が、
癒えない限り。

でもね、別に、癒えなくてもいいんだよ。

その傷があるから、
あんたはこれまで
誰かの傷に向き合おうとしてきたんだから。

「どうせ愛されない」っていう、
誰かの痛みを、
必死に愛そうとしてきたんだから。

その傷たちは、
あんたの愛の勲章なんだよ。

だからさ、
隠す必要はないよ。



…あのね。

よく聞いて。

あんたの愛してる人が、
あんたを愛してくれるかは、
わからない。

それは、相手にしか、わからない。

しかも、あんた、
ただでさえ、難しいとこ行くじゃん?

ちょ、おま、そんな格好で、
エベレスト行くん?
近所のコンビニじゃなくて?
死ぬよ?
っていうのが、日常茶飯事じゃん?

あー、いいのいいの、
あたしはもう慣れてるからさ。

あたしは、
あんたはきっとゾンビになってでも生きる
あんたの生命力に全幅の信頼を置いているから、
もう、止めないけど。

それこそがあんただと思ってるよ。

…話、脱線すんなって?
ごめんごめん。
大事なのは、
ここからだよ。


もし、
誰もあんたを愛してくれなくても、
みんなあんたを見捨てていっても、
たった一人だけ、
それができない人がいる。


え?誰?って?

…なにそのマヌケな顔。


………。


………あたしじゃーーーーーーーー!!


あ・た・し!!!!!!



あたしがいるよ。

勝手にひとりになりたがるあんたには
残念なお知らせだけど、

生まれてきてから、
死ぬまで、
あんたは一度だって、
本当にひとりぼっちにはなれたことはありません!!


だって、あたしがいるから。


残念だったな!!
がはははは。


だから、
もう、ひとりになるのは諦めな。


もし誰もあんたを愛してくれなくても、
あたしが愛してるから。


みんながあんたを見捨てていっても、
あたしは見捨てないから。


どれだけボロボロになっても、
あたしは、あんたの幸せを
絶対あきらめたりしないよ。


泣いたっていい。
弱音吐いたっていい。
嫌なら、いつでもやめればいい。


安心して、ボロボロになりな。
………あ、もうなってるか。


あんたはね、
難しいこと考えないで、
自分の愛を信じて進めばいいよ。
それだけでいい。


いろいろ考えるのは、
あんたにはちょっと難しいから、
考えなきゃいけないことは、
あたしがやってあげる。


あんたの幸せは、
あたしに任せなよ。


あんた、
すでにけっこう頑張ってるでしょ。

あんたに悲しい顔させるような、
そんな男のために傷つくなよ。

って、いう
王子様みたいなイケメンが出てくるといいね…
(遠い目)

まあ、そんな男のために傷つく、
そこが、
あんたのいいところなんだけどね。

一度愛したら、
とことん愛そうとする。
そんな簡単に終わりにできない。

それが、あんたの愛の器じゃない。


知ってるよ。

あんたが、頑張ってるのは知ってる。


彼と会うときはいつも、
少しの寂しさを胸にしまってさ、

美容院行ったり、
毎回新しいワンピース新調したり、
最高に綺麗にして、
会いに行ったよね。

少しでも彼の癒しになりたくて、
彼の話を、たくさん聞きたいから、
もっと聞き上手になりたいって、

少しでも彼とわかり合いたくて、
自分の気持ちも上手く言葉で
伝えられるようになりたいって、

何度も思ってたね。

彼が疲れた顔していたら、
あんた、伝えたいことたくさんあったのにさ、
そんなこと放り投げて、
彼の心を抱きしめようと、
必死だったよね。

もちろん、全部、無理やりじゃなくて、
あんたがそうしたかったから、
したんだけどさ。


たとえ自分が痛くても、
相手が痛そうにしてたら、
あんたは自分を差し置いて、
ちゃんと手当てしてあげようとするんだよ。

知ってるよ。


…え?
そういうの、犠牲っていうらしい?

そんなんな、言わせとけばいいんだよ。

あんたは、そうしたかったんでしょ?

それならさ、
あんたにとっては、
それが愛であることは変わんないんだから、
自分の愛と、
愛する人のことだけ、
見てればいいんだよ。

他の誰かのよくわかんない基準で、
自分の愛を図るなよ。

あんたの大きすぎる愛を、
そんな小さい枠に当てはめなくていい。

そんだけ捨て身になれるのは、
当たり前じゃないよ。
いや、だってね、
普通、恐ろしくて、命が惜しくて、
そんな格好じゃエベレスト登ろうと思わないから。


……………うん。



もっと、自信持って、堂々と、
愛してればいいんだよ。


だってさ、
あんたが自分より、
相手を優先しようとするのは、
もう、条件反射でしょ?

心に染み付いた、反射神経の愛じゃん。
それが、そのときのあんたにできる、
精一杯の愛し方じゃん。


それで、
だめだったんなら仕方ないよ。
精一杯やんないで、
何も伝えないより、ずっといいよ。


ほら、
信じられぬと嘆くよりも
人を信じて傷つく方がいいって、
武田のてっちゃんも言ってるじゃん。


そういうことだよ。

もっと、
自分の愛の価値を認めな。
過小評価がすぎるね。


むしろ、あんたの愛が大きすぎて、
相手が溺れてるんじゃないかなって
いうほうがあたしは心配だけどね。

彼、ライフジャケットきてたかな…。
いやあ、無防備だったよな…。

一応、マッチョのライフセーバー、手配しとくね。
あ、あと、これ、人工呼吸のマニュアルね。
王子をキスで助けないといけないときのために、
頭に叩き込んどきな。

備えあれば憂いなしよ。



そもそもさ、
あんたは、愛した人のこと、
相当のことがない限り見捨てないのに、
なんで自分は見捨てられると思うの?

…過去の人を、
見捨ててしまったって、
思ってんのかもね。
その痛みを背負ってんのかもね。

でも、そのときだって、
その瞬間、精一杯愛したんでしょう?

それなら、もう、何も後悔する必要ないよ。

そういう運命だったんだよ。
あんたが、どれだけ頑張っても。
きっとね。

悲しい?

それは、悲しいことではないんだよ。

ただ、あんたが最高に幸せになるための相手が、
その人ではなかったってだけ。
ただ、それだけだよ。

だから、
大抵のことがあっても
見捨てないあんたのことを、
見捨てるような人なら、
その彼も、
あんたがこれから生きてく人生に
ふさわしくないって、あたしは思うよ。
最高のパートナーではないって。


だってさ、相手はさ、
あんたの本気の愛が
伝わらないような人じゃないでしょ?

それをわからないような人じゃないでしょ?


だって、あんたが愛した人だから。

あんたの心を掴んで離さないくらい、
すごくすごくいい男なんだから。

これからも、
一緒に生きていきたい人だって、
あんたの心が、
感じるほどの人なんだから。


きっと、痛いほど伝わってるよ。
わかるにきまってる。


だけど、
相手には相手の事情がある。

だから、あとは、どうするかは、
相手が決めること。
それを、受け入れるだけだよ。

そこは、最後、
あんたの愛した男の決めたことを、
愛してあげな。

相手の答えによっては、
ちょっと苦しいけどね。


でも、あんたなら、
それができる。
自分の愛情、なめてんじゃないよ。



あ、でも、それは、やりきったらの話ね。
後悔しないとこまでやるんだよ。

まあ、言われなくても、
もうできることはなにもないって思えるまで、
『諦める』なんて
あんたの辞書に載ってないと思うけど。

もうできることないわって思えてから出る
改訂版にしか、悪いけど載ってないよ。




まだ、待ちたいんでしょう?

まだ、終わりにするつもりないんでしょう?

そうそう、調子でてきたじゃん。
目の奥燃えてきたじゃん。


諦めのすこぶる悪いところが、
あんたのいいところだよ。


目の前に『止まれ』って看板が見えても、
いざというときに看板よりも
自分のことを信じて、
命の危険を顧みず、
堂々と交通ルールを無視できるところが、
あんたのいいところだよ。


きっと、それができる情熱でしか、
行けない場所があるよ。

開かない扉があるよ。

見れない景色があるよ。


だからさ、
遠慮なんかしないで、
思いっきりやんなよ。


ずっと味方でいるって決めたんでしょ?

本気で癒しになりたいっていうのは
変わんないんでしょ?


絶対何があっても、
あたしはあんたの味方だから。

だから、あんたは、
気がすむまで、
その男の味方でいてあげなよ。


あんたがどんだけボロボロで
ぐちゃぐちゃになっても、
あたしだけは笑ってあげる。

どんな情けない姿でも、
笑って、抱きしめて、
一緒に泣いてあげる。


大丈夫。

まだまだこんくらいじゃ、
あんたの愛はめげないことを、
あたしは誰より知ってるから。


よし、いい顔になったね。
じゃあ、いってらっしゃい。


また、少し疲れたら、集合ね。
少し、だからね。
すごく、疲れたらじゃないからね。


そんなボロボロになる前に、
ちゃんと来ること。


あたしがいることを、
忘れないように。



………はい、解散!!!



あんたの一生を共にする相棒より。

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