あなたを愛するとき、私の幸せはいつも、寂しさと背中合わせだった。

私の愛し方


愛してくれない人を愛してしまう。



恋に生きる人なら、この壁にぶつかったことは一度や二度や三度ではないと思う。



私も、例に漏れず、その壁にぶつかり続けるうちの一人なのだけど、今、私の歴史が、少しだけ、変わろうとしている。


好きな男性のタイプが、変わるかもしれないと、これまでの恋愛の仕方が、変わるのかもしれないと、少しだけ、希望を持っている。



愛が感じられない恋。
幸せになれないとわかっている恋。


そういう恋に疲れてしまったあなたへ。
わかっているのに、泣いてるあなたへ。


何かが届くことを願いつつ、まだ、迷いの真っ最中にいる自分のために、書きます。





***






生きていくには不器用すぎるほど純粋で、寂しがりやでほっとけない人。


繊細すぎるガラスのハートで、鉄壁ガードの隙のない人。


抗えない色気があって、常に女性の影がちらつく、いや、ちらつくどころか堂々と見えている人。


夢をたくさん語って、キラキラした世界を魅せてくれるけど、同じ夢を見ることは叶わない人。




私が、これまで、愛した人たち。
隣にいたかったけれど、隣にいることを、許してもらえなかった人たち。
愛したけれど、一緒にいられなかった人たち。



個性あふれる面々で、外見や内面での共通点はあまり見つからないのだけど、彼らに共通していたことがひとつある。





彼らは、私を見ていなかった。





彼らは、いつだって、彼らの人生を生きることに夢中で、自分の夢とか、自分を満たしてくれるものとか、自分の譲れない何かとか、そういうものを見ていた。



そういうものを見ている彼らの目は、「こんな人はどこにもいない」と思わせるには十分な魅力を持っていて、私は、私以外の何かを見ながら、生き急ぐ彼らの背中だったり、横顔だったり、視線だったりに、恋をして、


その生き様を、必死に追いかけた。


自分の価値を、恋愛で埋めようとしていた私にとって、刺激的な恋愛で、生きてることを感じたかった私にとって、眩しすぎるほどの鋭さを持つ彼らは魅力的だったし、その鋭さはまるで星のように、輝いて見えた。


そして、そんなほろ苦さと表裏一体で、彼らがときおり見せてくれる優しさは、私の心を甘く溶かして、虜にした。




恋をした時間の長さや、想いの深さの違いはあるけれど、いつも、その瞬間、好きで、好きで、たまらないくらい好きだった。

思い出すだけで、泣けちゃいそうなくらい。


そういう、泣けちゃうくらい繊細な恋を、してきた。
私の心の泣けちゃうくらい繊細な場所を、埋めるように。



だけど、やっぱり、どれだけ私の人生で彼らの存在が大きな意味を持っていても、彼らの人生に、私は、きっと、いなかった。


彼らを支えていくのは、私じゃなかった。



それが、真実でもあった。



そんなことには、気づいていたけど、認めるわけにはいかなかった。

認めてしまったら、私は、彼らがくれる刺激で埋めている、私の心に空いている隙間に、すとん、と、一瞬で、落ちてしまいそうだった。

私は、その真実を、変えられる、と信じたかったし、むしろ、それを変えようとすることが、彼らをがむしゃらに愛するパワーの源だったのかもしれない。



私は、私がひとりでも完璧なんて、このままの私でも完璧だなんて決して思えなかったから、
私という存在は、誰かと生きてこそ完成すると思っていたし、誰かに猛烈に求められてこそ意味を持ったし、誰かを助けてこそ価値がある、と思っていた。



彼らとは、足りないものが同じだった。
私がずっと欲しかったものを、どうしてもあげたかった。
私なら、それが痛いほどわかってあげられるから。


だけど、それは、私では、あげられなかった。
だって、私も、もっていないから、欲しかったのだから。


それでもなんとか、自分の中のものをかき集めて、あげようとして頑張るのだけど、いつも途中で苦しくなりすぎた。

あげたくて、でも、あげられなくて。
彼からそれが欲しくなって、求めてしまった。
愛する人に必要とされたくて、懸命に生きているのに、あなたに、あげられない私。
あなたに、必要とされない私。



そんな私には、生きることの充実感や、自分でいることの意味、みたいなものが、いつも、どこか足りなかった。

私の人生の充実度を、愛する人に渡していたし、それを、どうにかしてほしくて、ほとんど、押し付けていたみたいなものだったかもしれない。




***




私は、私の人生を、少しずつ少しずつ、自分の手に、取り戻してきた。

私が愛してきたような、鋭い人たち、そういうスーパースターがいなくても、私の人生は、私が絶対的な主役になれるんだ、むしろ、主役の座を、誰かに渡してはいけなかったんだ。

そして、そういう、天気で言うところの竜巻みたいなエネルギーとか、図形で言うところの星みたいな鋭利さとか、そういうギラギラとした個性、みたいなものが、たとえ、なくたって、誰が見てもわかるような鋭い形をしていなくたって、主役になれるんだ、誰だって、みんな、自分の人生の、主役なんだ、ということ。


何かがあるから、何かをしたから、愛せるのではなくて、何もない自分、そのままの自分を受け入れていくことこそが、愛する、ということ。


そういうことを、やっと、心で感じ始めて、自分の体感として理解し始めて、今の私は、これまでの私の価値観と、新しい価値観を混ぜ合わせて、時に清々しいほど分離するそれらに揺られながら、日々を生きてる。



感情の渦潮の中で、溺れていたような日々。
その激流の流れを変えてくれるような人を求めては、流され、あるいは逆らうように、恋をした。

今の私は、その渦潮の真ん中で、流れを眺めている。
ときに、激しくて、ときに優しいその渦を。

そして、そんな自分も受け入れながら、誰かと一緒に生きていきたいと、心から望んでいる。



私が、これまで、愛してきた彼らに見ていたのは、自分の寂しさであり、自分の苦しさだったことは、わかってる。

同時に、私は、憧れていたんだ、と思う。


そんなふうに、強さと繊細さを兼ね合わせて、自分という人間の魅力で、綱渡りみたいに生きていくその危うさとか儚さは、私にとっては、何よりも眩い輝きを放っていたから。

私も、そんなふうに、自由に、生きてみたいと思った。

どこまでも自由で、限りなく不自由そうに見える彼らの姿を、いつまでだって、隣で見ていたかった。

そして、そういう彼らが、普段はひた隠し、強く強く押し込めているはずの、心の柔らかい場所を見せる時、あるいは、彼らの意図とは反して、漏れ出てしまう時、私はその生暖かい欠片を、愛さずにはいられなかった。



「私が、わかってあげたい」と、思った。
私だけが、わかってあげられる、そんな特別になりたい、と、願った。

彼らの夢を叶える、その場所に、私も存在したかった。
彼らの生きづらさがなくなる、癒しの存在に、彼らを傷つけるものから守る、安全基地に、彼らが寂しくてたまらない夜には、駆けつけられる存在でいたいと願ってた。


彼の夢、私の夢、を応援し合って、ふたりの夢も作って、手を取り合って生きていけることを、夢見た。

彼の個性も、私の個性も、彼の人生も、私の人生も、ふたつが重なるからこそ、生まれるものがきっとあると、信じていたかった。



でも、これまで、私が愛した人は、きっと、その状態には、いなかったのかもしれない、と思う。
そして、少なくとも、彼らは、私とは、それを望んではいなかったのだ、と。



それは、彼に、その準備ができていなかったり、そもそも彼にとって私がそういう相手ではなかったり、彼自身のことが危うくて、どうにかもがかないといけないような状況だったり、彼の夢の方向と私の夢の方向が全然違っていたり、どれだけ好きでいても、タイミングが合わなかったり、どれか一つだけが原因ではないのだと思う。


私が愛した人たちは、彼らの人生を生きて、彼らの存在を今この瞬間に焼き付けて、彼らの夢を追いかけるのに必死だった。


それなのに、私は、無理やり、そこに入り込もうとしていたし、そんな彼を変えようとしていたし、なんとかこっちを向かせようとしていた。


今、思えば、きっと、私のことを見てもらうことに頑張らないといけない、それ自体にすでに無理があって、こっちを向かせようとして、向かせるものではないんだろう。

自分の進むべき道を向いて進んでいたら、出会うものだったり、自然と、同じ方向を向いていきたい、と思えるものこそ、本物なのかもしれない。




『彼らの隣は、私の居場所ではない』



それを認めることが、そこに私にとっての本当の幸せがないということを認めることが、私はずっと、できなかった。


だって、恋をしている私にとって、いつでも、彼らは世界の全てだったから。


私らしい幸せの形が、そこにあると、信じて疑わなかったから、寂しくても、苦しくても、そこにい続けようとした。



あなたを愛するとき、確かに私は幸せだった。


だけど。


あなたを愛するとき、私の幸せはいつも、寂しさと背中合わせだった。



でもね。

あなたと過ごした時間を、あなたがいたから知ることができた感情を、知らなければよかったなんて、どれだけ泣いた日にも、どれだけ悲しかった日にも、思ったことは一度もない。

ひとつひとつ、全部が、宝物だよ。



それでも、
どうしようもなく寂しい場所には、
もう、自分を置かないと、決めた。



慣れ親しんだその場所に、すぐに置きたくなってしまうから、何度も、置かないと、決めなおしてるよ。



今はまだ、邪な気持ちがあって、難しいけど、でも、いつか、いつかね、あなたの隣にいられなかった自分を許して、あなたの幸せを喜べる私になれますように。


いつか、恋の相手、としてではなく、同志として、堂々と夢を語り合える私になれますように。











来世、いや、来来来世くらいかな。








***




私が本当に望む幸せについて、答えはまだ、出ない。

出ないどころか、
一生かけて、見つけていくものなのかもしれない。



5年後も、10年後も、結局、誰も見つけられずに、ひとりでいるんじゃないか。



そう思うと、未来がすごく怖かったけど、今は、なんだか楽しみに思えるようになった。


未来の私が、ひとりでも、ひとりじゃなくても、そのとき、自分が望む愛に生きていることは、きっと変わらないから。



今の私は、鋭く輝く人に対する憧れは胸に抱きながら、同じ未来を見て、歩ける人がいいな、と思ってる。


必死に追いかける必要のある人よりも、隣で手を繋いで、一緒に歩いてくれる人。


私のことを見てくれる。
そのことに何の努力もいらない。


ふたりの関係性を続けていく。
そのことに何の疑いもいらない。


彼の未来に、私という存在が当たり前にある。
この人となら、2人で同じ未来を作っていける、と思える人。


これから、何があっても、
何を得たり、何を失っても、この人となら笑っていける、と思える人。


私だけの願望じゃなくて、そう、思い合える人。





今、思えば、それが叶いそうな人を、私は何度も見送っている。



あの頃の私は、優しさだったり、絶対的な安心感みたいなものが、当たり前に私に向けられることが、うっとおしく思えてしまうほど、孤独だったんだと思う。

そんなものに触れるのを許せないくらい、自分のことが嫌いだったんだと思う。

そして、心の底からそれを求めているのに、そんなものはいらないと、意地を張って強がってきた。


そんなものが、怖くて怖くて仕方なかったこと、今ならわかる。


今さら気づいても、彼らとやりなおすには、もう遅いのだけど、今度、そういう人に出会ったときには、恋を始められる気がしてる。



今の私なら、きっと。


***

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