この人は私を愛さないと、わかってる恋しか、できなかった理由。

ゆきずりの恋たち

この人は私を愛さないと、わかってる恋しか、できなかった理由。


***



こんばんは。
愛野ひとです。


今夜も、私の今の恋の話を。

昨日の続きです。





***






休みの日に、午前中から待ち合わせて、
一日、デートした。




街を歩き回って、
彼のお気に入りのお店を教えてもらって、
美味しいものを食べて、
くだらない話をして、
空を見て、
歌を歌って、
ディズニーランドの話をしたり、
観葉植物を見て回ったり、
ずっと行きたかったお店に行ってみたりした。





何気ない日。
でも、たくさん笑えた日。





たまに、
私の持病の海より深い寂しさが
顔を出す瞬間があっても、
いつの間にか忘れているような、
そんな日。







あっという間に夜になった。



直前に行くことを決めたお店の
隅の小さなカウンターで、
ご飯を食べながら、
お互いに体を向き合うようにして話した。




彼は、その空気感どおり、
あまり欲がないのだ、と話していた。


自分で欲が出ないように、
高みを望まないようにしているところは
あるかもしれない、と。




そんな彼に、ふと、
「夢はなんですか?」と聞いてみた。



少し悩んで、「一般的な家庭をもつこと」と言った。



自分はそんな壮大な夢を持って
自己実現していくタイプではないから、と。




「どんな家庭にしたいんですか?」


そこから、彼の家族の話をした。




考えながら、話す彼。


自分のことなのに、人ごとみたいに話す彼。



そこには、彼がいなかった。

彼が、そこから、
自分の感情をくりぬいて、
どこかへやってしまったのかもしれない、と思った。




寂しいとは、一言も言わないし、
彼にとっては、
寂しさとは別の感情なのかもしれないけれど、
寂しいのかもしれない、と思った。



寂しすぎるから、
客観的に話さざるを得なくなる気持ちは、
私も、よく知ってるから。




ほんの少しだけ、
彼の発する空気が変わって、
その日、家族の話をした一瞬だけ、
初めて、彼の存在が鋭くなった。


きっと、そこに、
彼が蓋をしているものが
何かあるのかもしれないと、なんとなく思った。





***






行きたい場所に行けるなんて、
一日一緒にいられるデートなんて、久しぶりだった。



次はどこに行く?って、
当たり前に話せるなんて、久しぶりだった。



ひとりになって、
寂しさで胸が潰れそうにならないなんて、久しぶりだ。





ああ、そうか。
私、好きな人と、こういうデートが、したかったんだ。




そんなことを思うだけで、
なんだか心の温度が上がって、
涙が出そうになりながら、ひとり、帰り道を歩いた。




家に帰ってから、
彼の空気が鋭くなった瞬間のことを思い出してた。



そこには、確かに、寂しさがいる気がする。


私の寂しさセンサーの精度は、
長年の鍛錬と経験の積み重ねにより、
幸か不幸か、
一段と精巧さを増してしまったから。



だけど、そこを開けたいとは、
昔よりも、思わなくなった。


私がなんとかしてあげたい、とも、
昔よりも、思わなくなった。


落ち着いてる自分がいた。




誰かのことを、
本当の意味でなんとかすることなんて、
きっとできない。


彼が、それについて、
どう思っているかも、
何かを望んでいるのかも、わからない。



だけど、わからないままで、いいんだと思う。




それは、私が無力だからじゃない。


ただ、彼のことは、彼が決めていく、ということ。




私、助けてあげたい症候群も、
少しだけ、治ったのかもしれないなあ。



素敵だと思う男の寂しさを
敏感に察知した途端、
私の出番だ!と言わんばかりに
全身の細胞が飛び起きて、
一瞬で心の平野に情熱の炎が広がって、
もう手遅れになっていたのに。笑


助けたくて助けたくて、仕方なかったのに。



だってね、
こんなに、心理学をかじってきて、
何度も恋をして、
何度も自分を癒し続けて、
カウンセラーをやっているけど、
私、今も、寂しいまま。


だけど、
寂しさは、なくならないけど、
そんな寂しい自分も、好きになった。


寂しさを抱えるほど、
誰かを愛せる自分が、
今は、愛おしいと思う。



だから、たとえ、
あなたが寂しさを抱えているとしても、
もう、それを、
無くさなきゃいけないものだとは、思わないよ。





だけど、ものすごく、怖いと思う私がいる。


自分の怖さに触れたら、
涙がほろほろと溢れてきた。


心が開いてるときの、涙の溢れ方だった。



彼といると、私は、安心して、
同じくらい、すごく、恥ずかしくなる。


猛烈に恥ずかしい。


嫌じゃないのに、恥ずかしい。


これ以上、近づいたら、
恥ずかしくて、たまらない、という線がある。


なんだか恥ずかしいから、
自分の心が、沸騰しないように、
冷まそうとする自分がいる。



いつもの私なら、自分から、
手を繋ぎにいっているような気がする。



けれど、手が出ない。


その線を、越えられない。





私は、怖いんだ、と思った。



これまでなら、
相手との間には、彼女、とか、仕事、とか、
何かしら、近づけない壁があった。


近づかないように、
近づかなくてもいいように、
そういう相手を好きになった。



だけど、今の彼との間には、
これまでみたいな、壁が、ない。


もし、私が一歩踏み出してしまったら、
もし、私がその手を取ってしまったら、
彼の心に届いてしまう気がしてる。


いざ、何の壁もなく、
手を伸ばすと本当に届いてしまう距離で、
繊細な心に触れることが、こんなに怖い。



彼も寂しさがあって、私も寂しさがあっても、
お互いに潰れないような、そんな恋愛が、
今度は、私にもできるかな。




真面目に考えすぎなのはわかってる。



全て受け止める、とか、そんなこと、
少なくとも今の関係では、
特に望まれていないこともわかってる。



でも、私にとって、
誰かを愛するということは、
その人のことをすべて受け止めたいと思うこと。



彼を受け止めることが、私は怖い。


一人の人のことを受け止めて、
自分のことも受け止めてもらって、
生きていくことが、とても、怖い。




私は、ずっと、そんなふうに思ってたんだと、わかった。




でも、たとえ彼じゃなくても、
恋愛する上で、
全てを受け止めるなんて、
そんなことは求められてなくて、
きっと、ただ、心の底から笑って、
あなたといられて楽しいと、
伝えていれば、きっとそれで、十分なのかもしれないね。




寂しさを伝って自分の心に触れていくと、
いつも、お母さんに辿り着く。


私ね。
お母さんがいなくなるなんて、
思ってなかったから。


聞いてないよ。
お母さん。
いなくなるなんて、聞いてないよ。


私がこの運命を選んで生まれてきたのだと、
今は思えるけど、
それでも、あの頃の私は、
もう二度と、愛されたくなんてないと思った。


失うと思ってないものを失うのが、
こんなにも苦しいなら、
最初から失うと、わかっていればいい。


最初から、叶う見込みのない、
距離の遠い恋をすればいい。


だからね、
いなくなるって、わかってる恋だった。


一番になれないって、わかってる恋だった。


この人は、私を愛さないって、わかってる恋だった。


大好きでも、
絶対振り向いてもらえない人に恋をすれば、
叶わなくても、やっぱりねって思えた。


それでも、寂しくて、愛されたいときには、
そんなに好きじゃない人と恋を始めれば、
いなくなっても大丈夫だった。

私は、大丈夫。
だって、そんなに好きじゃなかったから。
そう、思えた。




だけど、
だけどさ、
私を愛してくれるかもしれない、
そんな人が、
もし、本当に愛してくれて、
その人が、いなくなったら、私は、どうすればいい?


その人が、私を愛さなくなったら、私、どうすればいい?





私、また、ひとりになるの?






そう思ってた。


だから、
私を愛してくれるかもしれない人とは、
恋を始めずにきた。




愛してくれるかもしれない、
愛しい人との恋の始め方を、
私は、知らないんだ。








おかしいな。


恋なんて、数えきれないほど始めてきたのに。


始め方が、こんなにわからないなんて。


誰かを好きになることが、こんなに怖いなんて。




たかが、
恋を始めるだけで、
こんなに怖いなんて、
恋愛アーティストの名が廃るね。


たかが、
好きな気持ちに素直になろうとするだけで、
こんなに怖いなんて、
恋愛カウンセラー失格だね。



ねえ、恋って、怖いね。


これでもかというほどぶつかれる感性?


ぶつかるどころじゃない。


これでもかというほど、怖がってる。笑






でも、私、やっぱり、



未来があることを信じて、恋をしたい。


一番になれる恋がしたい。


愛してくれる人と、恋がしたい。








あなたと、できるといいな。








***




3日連続の恋の話。
読んでいただき、ありがとうございました♡

彼との話は、また、続きができたら、書きますね。
(そもそも続きが書けるように頑張ります♡笑)



恋をして、自分の寂しさに出会うとき。
いつも、
私が6歳のときに
病気でこの世を去ったお母さんへの
気持ちに辿り着きます。


過去に、こちらでも書いてます。
良かったら、読んでいってほしいです。



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